
キャロウェイ SQUARE 2 SQUARE と テーラーメイド Spider ZT STANDARD、そしてこのタイプが合う人・合わない人。
近年、ゴルフ界で注目を集めているのが「ゼロトルクパター」という新しいカテゴリーです。
インパクト時のフェースのねじれ(トルク)を抑えることで、ストローク中のブレを減らし、より安定した転がりを実現するという設計思想。
理屈はシンプルですが、実際に打ってみると想像以上に“ストロークの違い”を感じました。
今回は、キャロウェイのSQUARE 2 SQUAREとテーラーメイドのSpider ZT STANDARD、
この2モデルを試してみた印象と、使ってわかった「合う人・合わない人」についてまとめます。
■ ゼロトルクパターとは
通常のパターは、ヘッド重心とシャフト軸がわずかにズレており、
ストローク中にフェースが自然に開閉(トルク)するような構造になっています。
ゼロトルクパターはそのズレをなくし、シャフト軸を重心線上に通すことで“ねじれをゼロに近づける”設計。
L.A.B. Golfが提唱する「Lie Angle Balance(LAB)」という考え方が代表的で、
フェースが常にスクエア方向を向きやすくなるよう、ヘッド重量配分と軸の通りを設計しているそうです。
(出典:Plugged In Golf「Zero Torque Putters Explained」)
理論的には、フェースローテーションを意識せずにストレートにストロークできれば、
ラインを外すリスクを大きく減らせるという考え方です。
■ キャロウェイ SQUARE 2 SQUARE を試してみて

キャロウェイのSQUARE 2 SQUAREは、ゼロトルク系の中でも後方重心寄りの設計です。
今回のヘッドはMAX 1パター。ヘッド後方の重量配分が強く、構えた瞬間に「動かない安定感」を感じます。
ストロークしてみると、ヘッドが自然と目標方向に真っすぐ動いてくれる感覚があります。
ただ、浅重心を好む自分にはやや“鈍重”な印象がありました。
フェースを返してテンポよく打ちたいタイプには少し動きが重く感じるかもしれません。
とはいえ、クラブの動きに逆らわずに打てれば、非常に直進性が高く、
打ち出したボールは転がりが強く、ライン上を伸びていくような印象でした。
■ テーラーメイド Spider ZT STANDARD を試してみて

見た目の完成度はさすがテーラーメイド、所有感をくすぐるカッコよさがあります。
Spider ZT STANDARDは、ゼロトルクパターの中でもバランスの良さが際立っていました。
キャロウェイに比べて若干浅重心に感じられ、ヘッドの動きも軽快に感じます。
ストローク時の挙動が滑らかで、押し出すようなストレート軌道を自然に描けます。
転がりも良く、フェース面からスムーズにエネルギーが伝わる印象。
ただ、最初は距離感が少し合いづらく、慣れるまで時間がかかる印象。
それでも、安定したストロークを続けられるという意味では、非常に完成度の高い1本に感じました。
■ ストロークタイプによる相性
ゼロトルクパターの最大の特長は、フェースの開閉が極端に少ない点です。
そのため、「ストレートトゥストレート」に近いストローク軌道を持つ人ほど相性が良いと言われています。
一方で、自分のようにアークストローク(フェースローテーション多め)のタイプでは、
最初にやや違和感が出るケースがあります。
フェースを返す動きを抑える必要があり、いつもの感覚で打つとフェースが開いたまま当たることがありました。
慣れてくると修正可能ですが、ストロークの“タイミング”を作るタイプにとっては調整が必要です。
フェースを返さず、押し出すように打つタイプのプレーヤーには非常に合いやすく、
打点ブレにも強く、ラインを外さない安定感が得られます。
■ アドレスによる相性
ゼロトルクパターは、構え方(アドレス)によってもフィーリングが大きく変わります。
これは多くの専門家も指摘している点で、
メジャーサイトのレビューでは「ゼロトルクパターはプレーヤーのセットアップによってパフォーマンスが大きく変化する」と記されています。
特に、ヘッドと身体の距離の取り方が重要です。
ゼロトルク設計はシャフト軸とヘッド重心がほぼ一直線上に配置されており、
この軸が身体の中心に近いほど、フェースが自然にスクエアを保ちやすくなるとされています。
私自身の体験としても、ヘッドを身体に近づけて構えた方が安定感がありました。
逆に、ヘッドを身体から離して構えると、ヘッドが重く感じたり、フェースが遅れて出る感覚があります。
フェースローテーションを抑える設計上、
ヘッドを身体から離すほど“動かないクラブ”の印象が強くなり、
ストローク中に手先で合わせに行くような違和感が出やすくなります。
メジャーなゴルフメディアでも、
「ゼロトルクパターはシャフト軸と体の中心が一直線に近い位置関係で構えるほど、
設計上の効果が最大化する」と紹介されていました。
■ ゼロトルクパターが合う人・合わない人
これまでの試打と、複数の専門メディアの見解を整理すると、
ゼロトルクパターの適性は以下のようにまとめられます。
合う人
- ストレートストロークに近い軌道で打つ人
- フェースを返さず、押し出すようにストロークする人
- アドレスでヘッドを身体に近づけて構える人
- ストローク時にフェースの開閉を意識したくない人
- 転がりや直進性を最優先に考える人
合わない人
- アークストロークが強く、フェースを返して打つ人
- ヘッドを身体から離して構える人
- 手の感覚やフェースの動きで距離を合わせるタイプの人
- 打感やフィーリングを重視し、感覚でパッティングしたい人
■ まとめ:ストロークの考え方を変えるクラブ
ゼロトルクパターは、単に新しい機構のクラブというよりも、
“ストロークの考え方そのもの”を変える存在に感じます。
フェースの開閉を抑え、構えた方向にそのまま転がす。
その精度を求める人にとって、これほど理にかなった設計はありません。
一方で、手先でタイミングを取るタイプのプレーヤーには、
最初は動きが抑えられすぎて“違和感”に感じる場面もあると思います。
キャロウェイ SQUARE 2 SQUARE は、どっしりとした安定感が特徴。
ストレートストローク寄りのプレーヤーや重めのヘッドが好きな人に向いています。
テーラーメイド Spider ZT STANDARD は、より軽快で操作性が高く、
デザイン性を含めて完成度の高いモデルでした。
どちらも、まっすぐ打ち出してラインを出すタイプにとっては強い味方になります。
一方で、アーク軌道でフェースを返して打つタイプには、
アドレスやストロークの意識を少し変える必要があると思います。
ゼロトルクパターは、プレーヤーに“構えと動き”の再現性を問いかけるクラブです。
自分のストロークを見直すきっかけとして、一度試してみる価値は十分にあると思います。